汎用オペアンプを単電源で使用するときの注意点

オペアンプ出力の跳躍現象

汎用オペアンプ (単電源用ではない正負電源用オペアンプ)を使って非反転ユニティゲインアンプを構成し、入力電圧を下げていくと、入出力特性は図1のようになります。4558型オペアンプは、入力が約 1.4V 以下で飽和し、約 0.9V 以下で high に跳躍します。一方741型オペアンプは、入力が約 2.1V 以下で飽和しますがhighに跳躍しません。このような跳躍現象が現れるのは、入力電圧の低下とともにオペアンプの同相入力電圧が低下し、オペアンプ内部のトランジスタが能動領域で動作しなくなるからです。つまり跳躍するかしないかは、オペアンプ内部の初段差動アンプの回路形式に依存します。

跳躍現象を避けるには、回路形式は入力信号によって同相入力電圧が変化しない反転アンプとし、同相入力電圧をVcc/2にバイアスするのが無難です。非反転アンプは、入力信号に依存して同相入力電圧が変化するので要注意です。

図1: 汎用オペアンプの跳躍現象   シミュレーション(4558) シミュレーション(741)

AC結合アンプ例

図2(a)は、汎用オペアンプを使用した単電源反転アンプの例です。抵抗R3とR4による分圧回路でVcc/2電圧をつくり、C2でDCより上の周波数成分をカットしています。この回路は、Vccの変動がR3,R4を経由してオペアンプの(+)入力端子に印加されてしまう欠点があります。 同一基板上にオーディオ信号処理IC等が載っていてVcc/2 電圧出力を利用できる場合は、その電圧を利用しても構いません。

図2(b)は単電源非反転アンプの例です。 R5はオペアンプの(+)入力端子のDCレベルを設定するとともに、オペアンプ内部の初段差動アンプのベース電流を供給します。C1はVoutの動作点をVcc/2とするために必要です。この例からも分かるように、一般に反転アンプよりも非反転アンプのほうが部品点数が多くなり、動作もややこしいので、反転アンプとするのが無難です。

図2: AC結合反転アンプ及び非反転アンプ   シミュレーション(反転)